大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和24年(オ)54号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理由

上告代理人弁護士武藤運十郎、同石井繁丸、同高橋正雄の上告理由第一点について。

所論各調書中削除又は削除挿入の部分に裁判所書記の捺印を欠いていることは論旨指摘のとおりであるがこれがために調書の無効を来たすものではないから論旨は採用できない。

同第二点について。

上告人等が被上告人において植え付けた稲苗を抜取つたのは耕作権があるから差支えないと思つたので法律上許されるものと信じていたとしても苟くも他人の植え付けた稲苗であることを認識しながらこれを抜取つた以上は毀棄の罪に該当するものといわなければならない。従つて原判決には所論のような違法はないから論旨は採用できない。

よつて民訴第四〇一条、第九五条、第八九条により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例